おしりの病気は専門性が高く、豊富な経験と高度な専門知識が必要とされます。当院では大腸肛門病学会 肛門科専門医/臨床肛門病学会 認定医が診察します。
当院では大腸肛門疾患において全国でも屈指の手術件数を誇る大阪中央病院で研修を積んだ院長と、世界で最も格式あるロンドンのセントマークス病院で研修してきた名誉院長が診察します。
このような症状はありませんか?
おしりの痛み
おしりからの出血
排便困難
おしりの腫れ
おしりにイボをさわる
下着が汚れる
おしりのかゆみ
脱肛する
湿潤感がある
肛門診察について
おしりの診察は恥ずかしさを伴います。診察にあたり当院では可能な限りの配慮と工夫を行っています。
まず、診察を行う前に問診によりどのような症状かお話を伺います。おしりの病気は詳細な問診のみでどのような病気かある程度判断できます。
その後、診察台で左横向きで寝ていただき、着衣を膝まで下ろしていただきます。
- おしりを広げて患部を観察(視診)します。
- 潤滑剤をつけた指で触診(指診)を行います。
- その後、肛門鏡を挿入して肛門内、直腸内を観察します。
(痛みが強い場合は肛門鏡の観察は行いません) - おしりの図や写真を用いてわかりやすく病状、治療方針を説明します。
肛門で多い疾患
内痔核(いぼ痔)
出血や脱出などの症状の程度により治療が必要となります。痔核(いぼじ)の形、大きさ、数により治療方針を決定します。
手術が必要と判断した場合は、当院で日帰り手術を予定させていただきます。
当院では結紮切除術(切る手術)とALTA療法(切らない治療、痛くない部位に注射する硬化療法)の両方を施行しています。病変に応じて適切な手術を行います。
外痔核(血栓性外痔核)
いぼ痔の一種です。トイレに長く座っている時や冷えた時などに、痔の血管内に血液の固まり(血栓)が出来て、激しい痛みを伴います。薬による治療で改善することもありますが、痛みや腫れがひどい場合には局所麻酔で血栓を取り出す必要があります。
血栓性外痔核は誰にでも突然起こりうる、おしりの病気です。おしりに急な痛みを感じたら、早めにご相談ください。
裂肛(きれ痔)
便秘による硬い便の通過や、下痢便の強い勢いなどで、肛門の出口付近が切れたり、直腸肛門部の血液循環が悪くなることが原因です。歯状線より下にある肛門上皮は、肛門内側の粘膜と違い、知覚神経(痛みを感じる神経)が通っているため、きれ痔には、強い痛みが伴います。
薬による治療で改善することがほとんどですが、慢性化し、肛門の狭窄をきたすと手術が必要になります。
痔ろう(痔瘻、あな痔)、肛門周囲膿瘍
痔ろうは、直腸と肛門周囲の皮膚をつなぐトンネルができる痔のことです。肛門周囲に膿がたまる”肛門周囲膿瘍”が進み、慢性化すると痔ろうになります。
痔ろうの主な原因は、下痢などによって肛門の組織に最近が入り込むこととされています。歯状線には、「肛門陰窩(こうもんいんか)」と呼ばれる上向きのポケットがあり、粘液を出す「肛門腺」と呼ばれる腺があります。小さなくぼみなので、通常はここに便が入り込むことはありませんが、下痢をしていると、便が入りやすくなり、肛門腺に大腸菌などの細菌が入り込むことがあります。
この肛門腺に細菌が入った際に、感染を起こして化膿し、肛門周囲膿瘍になります。さらに肛門周囲膿瘍が進行し、肛門の内外をつなぐトンネルができると痔ろうとなります。
肛門周囲膿瘍の場合、38〜39℃の発熱、激しい痛み、腫れがみられます。痔ろうは、膿が出て下着が汚れます。膿の出口がふさがり、再び膿がたまると肛門周囲膿瘍と同様の症状になります。
肛門周囲皮膚炎
肛門の周囲に起こる皮膚炎です。炎症によるかゆみ、痛みが主な症状で、下着の汚れなども起こります。主な原因には、アレルギー性疾患、カンジダなどの真菌症、痔核・裂肛・ポリープ・肛門皮垂などがあります。また、神経質に拭く、トイレのたびに洗浄するなどをきっかけに発症しているケースもあります。
軟膏処置で悪化する真菌症ではないかをまず確認します。
その上で、適した内服薬や軟膏などによる治療を行います。過度な手入れを避け、清潔を保つことを心がけましょう。
尖圭コンジローマ
パピローマウイルス(HPV) 6, 11型の感染による皮膚の角化によって生じる乳頭状、鶏冠状の腫瘍で、2mm~10mmを越えるものまであり、肛門周囲や会陰・膣・陰茎などに多発します。痒みや痛みなどが無い場合が多く、いつ発病したかはっきり覚えていない人も多くいます。
肛門性交による性行為感染症(STD)が主な原因で若い男女(10代後半から30代)に多くみられますが、高齢者や小児でも見られることがあり、この場合の感染経路は公衆浴場のイスや温水洗浄付きトイレの使用など言われていますが、不明なケースもあります。尖圭コンジローマの人と性行為をすると、60~80%が感染すると言われています。原因であるウイルスが感染してもすぐにイボがあらわれるわけではなく、感染してからイボが確認できるようになるまで、約3週間~8ヵ月(平均2.8ヵ月)くらいかかるといわれています。したがって、感染した時期や誰から感染したかを特定するのは難しいとされています。
尖圭コンジローマと診断された場合は、パートナーも尖圭コンジローマに感染していることが予想されますので、パートナーにも受診してもらうことが大切です。尖圭コンジローマのある方はHIV(エイズウイルス)や梅毒に感染している可能性が高く、治療前にこれらの検査も行う必要があります。
外用薬と切除(手術)の2つがあります。腫瘍が比較的小さい場合は外用薬(べセルナクリーム)を3回/週使用します。刺激が強いため、肛門内にコンジローマを認める場合は、適応外となります。肛門内や腫瘍が大きい、外用薬で小さくはなったが完全には消えない場合は切除(手術)します。小範囲であれば局所麻酔でも可能ですが、広範囲や肛門内にある場合は腰椎麻酔で行う場合もあります。